「病原菌の侵入と発熱」

             みやざわ小児科・院長:宮澤玄治

発熱する病気の多くは、病原微生物(細菌、ビールス、他)の感染によるものです。原因となる菌が体内に侵入し、増殖していくとき、体の組織が侵されていきます。この状態を発病といいます。

病原菌が侵入、増殖することを防ぐものが、すでに体内にできていれば発病せず、何も起こらずにすみます。この物質が免疫、抗体と呼ばれているものです。

赤ちゃんは、母体から多くの抗体をもらい受けて生まれてきます。母乳にも抗体が含まれています。哺乳された抗体は、胃から腸を通り、腸の壁に抗体でできた防御膜を作ります。しかし、母体からの抗体は生後5ヶ月頃から次第に減少し、やがて完全になくなってしまいます。母体抗体は、すべての病原菌の侵入を阻止できるわけではありませんが、抗体のある間、あまり病気には罹らないのです。

赤ちゃんは抗体が消えた後は、改めて一つ一つの病原菌の侵入を受けます。体は、菌の侵入、増殖に対し、できるだけ早い時期にこれをおさえ、被害を最小限にくい止めようとするのです。これには多くの、いろいろな能力を持った細胞が動員されます。直接、菌を殺したりもしますが、やがて新しい抗体を作り出し、菌の活動を完全に抑えてしまいます。少しの間、病原菌と細胞との戦いもありますから、発病としての症状が現れます。

そのほとんどに、発熱を認めることができます。お母さんにとってはこの熱がもっとも心配なのです。しかし、侵入病原菌を殺す細胞、あるいは、新しい抗体を作る細胞を増やし、動員し、その細胞の能力を活発にするために熱が大いに役に立っているのです。この時に、薬などで熱のない状態にしてしまいますと、かえって、これら味方の細胞の能力を低下させてしまいます。

 

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